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『ひねくれた贖罪』
もし愛する人が死んだなら――
気づけばそう考えている。
満員電車に揺られながら。会議の最中に。
そして決まって笑う。
不倫をして家族にひびを入れたのは私だ。
自分の悲しみを思う前に、妻たちを顧みるべきだった、と。
最近よく、ある女性社員に誘われる。
先週は美術館へ、今日は映画を観にいった。
少し眠りそうになったが、ストーリーは単純である程度は楽しめた。
主人公の恋人が死に瀕する病気で、その恋人のやつれていく様を描くブラックコメディーだ。
まだ仄かに明るい路地に出ると、「やっぱり映画は純愛だよネ!」と彼女は言った。
夕食の後はラブホテルへ行った。金曜日だった。
翌日の朝方、眠気に脳を犯されながら、愛について考えた。
昔、『想像のなかで女性を組み敷くことも姦淫なのだ』と聞いた。
それならば、その逆もまた然(しか)りではないか、と思ったものだ。
もし愛する人が死んだなら――
こういったときに浮かぶ顔は、たいてい決まっている。
私が傷つけた一人の女性とその娘。
幸せであれ。そう願うことで彼女らが幸せになるなら――
私は笑った。隣に眠る女性を見て、私は笑った。
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